呪怨 ~JUON~ (現代に求められる、もっとも効果的な呪いのあり方についての考察)
ウォーキングを再開してね。
諸事情(主に寒さ)により自粛してたのを、春先から再開して。
夜、人気も車通りもない田舎道を、デュークか俺かってくらいシュッシュ歩いてて、時折曲がり角で向かいからウォーキングしてきたご夫婦とかに「うぉっ!びっくりしたぁ!」とか元気に挨拶されたりしてます。
ご無沙汰してます。だくてん、もしくは幽霊オバケの類です。
若干腹が出てて、胸と腹の間に汗ジミを付けた髭の中年男がシュッシュしてたら、世間は驚くみたいです。オバケが出た、くらいの勢いで。
40を目前にして、一つ勉強になりました。
今後、呪いの一つや二つは掛けられるように精進する所存にございます。
wind is browing from the Aegean~とか唱えます。
呪ディ・怨グとでも呼んでください。
「ヲンナは海」とか呪いの言葉を口ずさみます。
好きな男の腕のなかでも、違う男の夢をみてますから。実際。
いい加減すでに夏っぽい感じになってきてるし、そろそろテレビで恐怖映像特番とかやらねぇかな。
昔はさ。
写真ってフィルムで、カメラ屋とかドラッグストアとかで現像してもらってたじゃない。だからなんとなく腕が透けてる右足がないなんて写真で(〃▽〃)キャー♪とか言えたけど、今はもうデジタルな訳ですよ。
もう、体の一部が透けたりなくなったりする事もないもんで、幽霊界にも激震走ってるよね。もうこの手は使えない。新技術をって。
さらに、恐怖映像特番とか見てると、もう写真じゃなくて動画だもんね。
さっきまで遠くにいたハズの女が背後にっ!って瞬間移動して、さらに追いかけたりなんだり。幽霊もすげぇ労力が増えてる。
昔はよかったよね。ただ写真のどっかに映ってればそれでよかった。
今じゃ、幽霊もすげぇアクティブに動かなきゃ驚いて貰えない。幽霊受難の時代。
仕事のない昼間の内にウォーキングだのランニングしてるハズ。幽霊も。
じゃないと追いつけないもん。
「ひ、膝痛ぇ・・・」とか、泣き言いってる場合じゃない。
でも、驚いてくれるならまだマシだよね。
今の主流は携帯カメラ。
深夜の暗い夜道でシクシク泣いててもさ、女子高生とかに「アイツ、超髪長くね?」とか陰口たたかれながら、写メとか撮られて、ヘタしたら「拡散しまーす♪」とかtwitterにツイートとかされるんだぜ?
幽霊、マジ泣き。
「せめてモザイクを・・・」つって。
幽霊も、もう身を削って呪うしかないよね。
「え・・・炎上させてやるぅ」つって。
幽霊もtwitterアカウントつくって、「夜中に泣いてる女の人を盗撮するのっていけないと思います!」とかリプライして同情を煽って、アカウント情報から盗撮女子高生の素性を調べ上げてNEVERまとめか2ちゃんねるあたりにUPしたりして、なんかすげぇIT。幽霊側の呪いの手段も、個人情報漏えいとかがメイン。
実際、現代社会で一番の呪い・恐怖って、身元バレ・情報漏えいだと思うんだ。
ほんの出来心で犯したバカげた行為も、世に拡散されるとそれはまさに呪怨。
学校や会社を辞めさせられ、人間関係その他、人生そのものを破滅に向かわせる最も恐ろしい手段になる。怖ぇ・・・。
10年以上前だったっけか。
防犯対策に商店街に防犯カメラを設置します、とかで個人のプライバシーがどうのこうのって問題になって、やれイギリスの場合は、とかニュースで取り上げられたりもしたけど、今はカメラをみんなが持ち歩いてる。
一億総防犯カメラ状態。
ちょっとでも目に付く行動をとると写メ撮られて、拡散されるのが現代。
幽霊は写真に撮られて恐怖を煽ってたけど、俺らは写真に撮られる事に恐怖してるんだな。
だ・か・ら。
これからは幽霊もカメラつき携帯電話を支給されるべき。
「うらめしや~」なんて、内向的かつ主語・述語の欠如した決め台詞は禁止。もっと具体的に恐怖をアピールしないと現代人はかまってくれません。怖がってくれません。
「写メとって拡散してやる」コレでいこ。
「拡散すっぞ」があるとなお良し。
企業つきの幽霊だったら「スポンサーに凸すっぞ」もいいかも。
貞子は、現代社会に適応しつつ効果的にアピールしてきてる。活躍の場、増やしてる。始球式とか、してる。そのせいでもう恐怖を与える存在ではなくなってしまったけれど。
今後、恐怖映像特番とかで「幽霊に写メ撮られて拡散された!」ってのが放送されたら、それ俺のアイデアだからギャラ頂戴ね。