私の時代の到来 （私に祈りなさい、されば救われん）

いやー、ビックリしたよ。

まさか、そんなハズはっ！って。

風呂に入って。

「そーいや、全裸になるのは風呂に入る時くれぇだよな」

とか力なく呟きながら、ここ最近の性的不甲斐なさを思い返しつつ湯船で身体を温めて。

で、もう寝間着に長袖長ズボンは暑いからって、タンスからハーフパンツを取り出して。

履いたら、すげぇの。

俺の身体が全力で拒否すんの、履くのを。

俺の身体がっていうか、腹なんだけど。

本体の俺が余りにも不甲斐ないからって、こんなトコが意志を持つなんて。

今すっげぇ、腹、苦しい。





体重は変わってないハズ。

もちろん、身長も変わってない。

なのに、腹が・・・でけぇ・・・。



妊娠の可能性を疑って、いろいろ思い返したよね。

過去１年間の、性的な行為を。


あの時、イケてるガチムチ兄貴を視姦した、とか。

あの時、ムチムチしたサラリーマンとすれ違い様に目が合った、とか。

色々思い返してみたんだけど、それは性的な行為じゃねえし。

性的な目で見ていた、だし。

全く、思い当たるフシがなかった。







でも、まだ妊娠の可能性を捨てきれない。

時代は、セカンドオピニオン。

ググったよね。

妊娠の初期症状について。

妊娠を経験した、諸先輩方のコメントを食い入るように読み漁った。

「とにかく、眠い」

「とにかくダルくて、何もやる気が起きない」

「乳首が、異常に敏感になる」

「お腹が張る」

「夜中に頻尿」

なにこれ、全部当てはまる。

特に、乳首うんぬんは、特筆すべき症状の一致。





ついに、きた。

俺、成し遂げた。

憧れの、処女懐胎。

恙なくも清い毎日を過ごしていたハズが、神の子を宿してた。

そう確信したら、もう愛おしくてね。

ウエストのボタンを嵌めるときなんか、もー凄いダダ捏ねるのよ、神の子ったら。

あっ、お腹の子が蹴った、って。

この子も、スクスク成長してるねー、って。

おっきくなったら、どんな大人になるのかしら、ってマリア目線で和んでみたんですけどね。



で、愛おしくお腹をさすりながら、

『大きく育ってね～、そしていずれは世界を支配するのよ～』

とか語りかけながら過ごしてるんだけど、猛烈に今、王様ゲームしたい。



「王様、だ～れだっ！」

と問われて、


「私（の子）だ」

とか、言いたい。

でもって、神々の遊び、したい！

祈りなさい、私は神の子を宿した髭中年（３８歳、独身）。

奇跡の度合いで言ったら、こちとら処女懐胎以上に奇跡。

出産の暁には、大々的に皆様にお知らせします。

お供え物次第で、皆さまにも幸福が訪れるかもよ！(* ^ーﾟ)