【世界名作童話】桃尻太郎
LINEという便利なツールが登場し、コミュニケーションのあり方も随分変わりましたね。
もちろん、新しいツールが登場すると、新しい問題が起こるものです。
使い方によっては便利なツールも、誤った使い方をすると大変です。
イジメや犯罪に巻き込まれないように、正しい使い方を伝えていかなくてはなりませんね。
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ある日。
お婆さんが川で洗濯をしていると、大きな尻のような桃が流れてきました。
「アタシだって若い頃は・・・」
と、在りし日の己の尻の活躍ぶりを振り返り、あの頃の輝いてたアタシを取り戻すの!とばかりに、大きな桃を、彼女の年齢からすると奇跡とも思える力で自宅に持ち帰りました。オンナってすごいね。若さに対する執念が。
自宅に持ち帰り、お爺さんと一緒に大きな桃を割ると、なんという事でしょう。
可愛い男の子が出てきました。二人は大層喜び、お婆さんの若かりし頃の尻にちなんで、桃尻太郎と名づけて可愛がりました。お爺さんが若い頃、大層喜んだこの尻にちなんで。今で言う、キラキラネームってやつでしょうね。
桃尻太郎が、大胸筋と大殿筋が大きく膨らんだ、たくましいガチムチ髭のイケメン野郎に育った頃、割と近所の鬼ヶ島で、外国人と思しき鬼たちが、日本人では見たことがないような規格外サイズの棍棒を振り回しているという噂がLINEのタイムラインに流れてきました。
「規格外サイズ・・・、試してみたい!」
桃尻太郎は、戦いを挑みに鬼ヶ島へと旅立つ事を決意しました。
鬼たち、という事は複数戦か。桃尻太郎ははやる気持ちを抑えきれません。
お婆さんに、バイアグラを仕込んだキビ団子を作ってもらって、いざ出発です。
途中、複数戦とバイアグラ入りキビ団子の噂を聞きつけた、ラブリードッグ、クールモンキー、そしてよく分からないけどキジっぽい顔の男が合流してきました。
うっかり友達登録してしまったようですね。これはいけません。
「なんだよ、このメンツ。バルキーバイソンとかじゃねーのかよ」
と桃尻太郎は一抹の不安を感じながらも、複数戦会場・・・じゃなかった、鬼ヶ島へと乗り込みました。入場を断られないかとヒヤヒヤです。
規格外サイズの棍棒を持った鬼たちを見て、お供たちは興奮状態です。
ラブリードッグは、歯を立てて棍棒に噛み付き、
クールモンキーは、傷がつくまで背中に爪をたて、
キジっぽい顔の男は、よく分からないけど「すげぇ!すげぇ!」と外野席から観戦していました。つか、鬼たちもキジ男には目もくれていない様子です。
いつ、鬼たちからクレームがはいって、出入り禁止になるかもわかりません。
お前ら、もう帰れよ・・・そんな空気すら感じます。
やはり、友達登録は慎重に。あなたの評判までも落としてしまいますよ。
それでも、この戦いの主役は、やはり桃尻太郎でした。
大きく発達した大殿筋めがけて、大勢の規格外サイズの棍棒を持った鬼たちが襲い掛かります。圧倒的な勝利感、この場の主役はこの私。桃尻太郎は勝ち誇った笑みを浮かべながら、ただ一人、鬼たちに立ち向かいました。
鍛えに鍛えた大殿筋、今使わずにいつ使うの?今でしょ!とか、よく分からないけど巷で流行ったフレーズが脳裏をよぎります。
桃尻太郎の頑丈な大殿筋を前に、次々と鬼たちが脱落していきます。
「もう、無理です」
「もう、勃ちません」
「溜めてたのに、もうスッカラカンだよ」
桃尻太郎の圧倒的勝利により鬼たちは屈服し、大量の鬼たちのLINE-IDという貢物を手に凱旋帰宅したとのことです。
ラブリードッグ、クールモンキー、キジっぽい顔の男は、帰宅後すぐにブロックされたと、伝えられています。
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ツールというものは、使う人を映す鏡となる、という教えなんですね。
表現の元ネタが分からない人も多いかとは思いますが、分からないままで結構です。
昔の人が伝えたかった事は、十分お分かり頂けたと思いますから。