ロマンスの神様とわたくし(比較的頻繁に降臨する神についての戯曲)
先日。
深夜番組を見ていたら、広瀬香美が出演していた。
ググッテみたらデビューは1992年との事なので、芸歴20年。
当然の事だが、俺のしっている広瀬香美から20年後の姿でテレビに出演していたのだが、彼女を観て驚愕した。
俺が知っている広瀬香美は。
これでもかっ!これでもかっ!と、
前へ前へ主張する顔面凶器を武器に、
時代が時代なら、
『アブリでもやってんじゃねぇか?』
と、勘ぐりたくなるような、”陽気”という一言では明らかに表しきれない、
幻覚見てそうなテンポに乗せて、全国のゲレンデで札束と精液をまき散らす男との恋を、軽やかに歌っていた女。それが彼女だった。
しかし。
テレビに映る彼女は、
彼による重力作用が、どういう訳か全てよい方向に作用し、
特に、あれ程までに主張していた顔面が、柔和に変化し、
「見ようによっては美人」
という、俄かには信じられない、劇的な変化を遂げていた。
恐らくは、歌手としての第一線を退いたのちも、充実した日々を送っていらしたのであろう。
恐るべし、
香美・焙煎・広瀬。
味わい深くなっていやがる。
彼女が、その薬物依存の疑いのあるテンションで、世にヒット曲を量産していた当時、俺はまだ高校生だった。
当然ながら、バブルの恩恵は直接には受けていない。
しかしながら、彼女の、
♪ロマンスの神様、この人でしょうか~
は、俺のDNAにも深く深く染み込んでいる。
コンビニの雑誌コーナーで立ち読みをしている、あの彼。
電車のあい向かいで大股を広げている、あのサラリーマン。
車を運転中に対向車線をすれ違う、あのトラック運転手。
そんな、至急がキュンッ!ってなるような、ステキな殿方と遭遇する度に、
♪ロマンスの神様、この人でしょうか~
香美、降臨。
いちいち、メロディーがうるさい。
そんなこんなで。
素敵な殿方に遭遇する度に降臨する彼女には、感嘆せざるを得ない。
あんた、意外とマメだな。
決して彼女の意志ではないことは自分でも重々分かっているので、申し訳ない気がせんでもないが。